コラム
2026.10.02

10月から最低賃金が改訂され、大阪府では時間あたり54円上がって1,231円になります。伴って、ライフサポート協会でも現場での介護や支援の仕事の採用時時給は1,250円(全員が対象の処遇改善手当を加えると1,280円)になる…だけでなく、在職中の職員の時給も夜勤手当も、正職員(初任者中心)の月給に至るまで一定額引き上げます。
「公定価格」といって政府が利用料の基準を定める医療や介護福祉の業界においては、人件費や物価の上昇が、近年、収入を大幅に上回るため、経営を困難にしており、3年に一度の報酬改訂とは別に「処遇改善加算」を増額して対応されてきました。今年6月にも「処遇改善加算」が増えたことで、法人職員の毎月の給与も、先述の処遇改善手当の設定をはじめ、なんとか増額することができました。
それでも、毎年10月を迎える度に思うのは「最低賃金の上がり幅の方が、加算などの収入よりも大きすぎて、法人経営が年々苦しくなってきている」ということです。加えて、労働側の観点からでも、時給や月給が上がっても、物価の上がり幅の方が大きく(=実質賃金がマイナス)生活が苦しいのが変わらないという声も聞こえます。
そこで、今回は2021年7月の給与と2026年の同月の給与を比較して、どれくらい上昇しているのか?定量的に検証しました。
まず、人件費全体の増額割合です。法人全体では人件費総額が115%になっていましたが、とりわけ社会保険料が125%と大きく伸びています。これは対象者の拡大(ライフサポート協会の場合は2022年10月から週20時間以上の職員に拡大)で、本人の控除額も増えますが、法人の保険料負担も増えた影響があります。また、2024年度あたりから職員不足がある程度解消に向かい、人数が若干増員(102%)になっているのも人件費が増えた理由です。
次にもう少し細かく5年間での上昇幅を見てみます。次の表を参照ください。

表の最低賃金は2021年も2026年も10月改訂前の金額ですが、122.1%増加しています。ライフサポート協会のパート職員(介護職初任者)もほぼ同じくらい増加していますが、本年6月創設の処遇改善手当(時給30円)を足した額ですので、制度改定で「世間並み」にやっとのこと合わせた形です。さらには習熟者含めたパート職員の給与や、正職員の月給、専門職や主任も5年での変化を算出しましたが、106~115%と、いずれも最低賃金の増加ほどは上がっていません。なお「夜勤パートの日当」だけは平均を上回る伸びになっています。福祉職でもとりわけ確保が難しく、他事業所でも伸びが大きい職種です。
ちなみに時間軸はずれますが、通年データで比較できる最新の5年間、2020年から2025年の比較も掲載しています。全産業の賃金・介護職の賃金・ライフサポート協会職員の賃金を「賞与も含む平均月額」で比較したものです。
(出典https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001685519.pdf)
この表から言えるのは
▸最低賃金の上昇でパート職員などの給与も増加しているが、相対的に高かった職種や役職者の伸びは抑制されてきた。これは全産業においても最低賃金の伸び(122%)に比して、賃金上昇率(112.5%)はそこまでは伸びていないことからも他社でも同じ傾向だと言えます。
▸前述の通り、全産業の給与も5年で112.5%と伸びていますが、介護職は107.2%と伸びが追いついていないです。その中でライフサポート協会は113.5%と伸びているものの、社会保険料の増加等もあり、人件費の増加と収入の鈍化で、経営環境をしてはかなり厳しくなったと言えます
▸5年間の物価の上昇率は全体で114.5%、食品で129.7%とかなり上がっており、賃金の上昇に追いついていないです(昨年はとりわけ米価が高騰した面がありますが)
収入の7割も占める人件費をAIやICT活用、リモートワークの普及などでは減らすことの困難なのが福祉職です。
「最低賃金の上昇に見合う給与が全員に出せる報酬・他業種にそん色ない給与が出せる報酬」を来年度の改訂では切に希望します。