コラム
2026.06.08

5月30日・31日の両日、長瀬慎一さんのお話を聞く機会がありました。長瀬さんは、強度行動障害といわれる重い自閉症などがあり、突発的な行動や自傷、他害などの行動に及んでしまう人に専門的支援をおこなってきた方です。長瀬さんが以前在籍されておられた「横浜やまびこの里」は私も専門支援施設として存じ上げておりました。
専門的支援を学ばれた長瀬さんは、在宅の子どもたちへの相談対応などをおこないつつ、やがて行政や医療機関から、知的には障害はない(学歴や職歴がある)人への支援も依頼されるようになったそうです。彼らは、言葉は話せますし、嘘をつくこともあるし、家族側含めて関係がより複雑な例もあるそうです。
ただ、結果的に支援の対応の中で「行き過ぎた対応」に及び、逮捕~服役を経て、今回はその経過と獄中で出会った幾多の「何らかの障害や生きづらさ」のある受刑者たちの話まで拝聴させて頂けました。
私自身も30年近く前ですが、障害者入所支援施設(当時は知的障害者更生施設という制度名でした)で、行動障害といわれる状況の方とも関わりがありました。施設内でのたくさんの事故・他害行為があり、職員への暴力もあって、たくさんの同僚が辞めていきました。結果的に、安全配慮を名目として虐待・不適切支援と言われても仕方のないことをしてきました。「行き過ぎ」は日常だったのです。私も逮捕されてもおかしくなかった…そんな思いがよみがえってきました。
当時の私は「施設」の閉鎖性や、大集団での生活のストレスが、こうした行動が誘発される原因なのでは?むしろ地域で、子どもの頃からの適切な個別療育や支援があれば、入所者さんの言葉にできない辛さや、職員の疲弊感も和らぐのではないか?と考えていました。
そんな思いも抱きながらライフサポート協会にきて、主には在宅メインでの高齢者介護や障がい者支援に携わるうちに、「環境要因」も大切ですが、単に地域の中で、みんなと共に生きるというだけではなく、自閉症への支援アプローチの学びも同時に大切なのだとも感じています。
より難しい対応を求められるケースがありますし、長瀬さんが獄中で出会った問題を抱えた受刑者たちも、刑期を終えて地域に戻ることもあります。彼らが社会に適応できないという言い方を裏返せば、社会が彼らを排除する面があるということです。
障害者支援の専門職としては、強度行動障害にしても、知的には障害がなくても行動面や成育歴などで問題を抱えている人たちにしても、適切な支援プログラムの提供や、環境の整備、問題に及ぶ前段階でのチームでの介入などで、地域とつなぎつつ、触法行為や生活破綻を回避するという難しい課題が求められると改めて感じました。そのためにも子ども段階での教育が最も重要だという長瀬さんの指摘は本当に心に染みます。2日間のお話、ありがとうございました。
30数年も福祉に関わっていながら恥ずかしいことですが、まだまだ十分とは言えないです。障害者支援の専門性について、職員も学びを深め、「行き過ぎ」ないようなチームでのアプローチができ、専門外の人や地域の人とも協働できるような場づくりをしていきたいという思いになりました。