2011年6月9日
ライフサポート協会 常務理事 村田 進
「I have a dream(私には夢がある)※」は、アメリカ黒人解放運動の偉大な指導者であった故マーチン・ルーサー・キングJr牧師の演説の一節です。
自由の国であるはずのアメリカで、平然と肌の色で差別が横行し、抗議することすら許されない厳しい時代。1963年8月28日、職と自由を求めて全米からワシントンに集まった20万人を超える聴衆を前にした彼の演説は、差別の不当性を糾弾し、その廃絶を求めるものでしたが、その後半、即興で彼の「夢」を語りかけたのです。
差別という人を引き裂き、その尊厳を奪う社会に対する「絶望」と「怒り」を乗り越え、「人として共に尊敬される社会」への変革の「夢」を語ったのです。
いま、少子高齢化の進行の中、社会福祉の重要性が語られ、福祉労働従事者の確保とそのための給与改善が取り上げられています。しかし、一方で福祉専門学校の定員割れや生徒の質の低下が言われ、不況対策で職安から補助金を活用した失業者が「福祉でも」と流れてきています。
社会福祉は、要介護高齢者が増えるから、ニーズがあるから、可哀そうな人がいるから取り組むものでしょうか? 何か違うように思います。
私は、人が加齢や障害によって何らかの困難を抱えても、その人の周りにいつも心にとめて支援してくれる輪があって、その人自身もそこでは何らかの役割を持てて、その人らしく暮らしていける社会を作ることが社会福祉の使命だと思います。
「人が人として尊敬される社会をつくること」が私の夢です。
福祉事業に取り組む法人の責任者として、「夢」を語り、「夢を抱いて」仕事をする仲間を増やすための環境を整えることが私の任務だと改めて自覚して、これからのコラムを綴っていきたいと思います。
よろしくお願いします。
※ I have a dream(私には夢がある)は以下のサイトに詳しく紹介されています。
http://longtailworld.blogspot.com/2006/02/i-have-dream-speech.html (外部リンク)