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事務局長コラム

<第2回>
20年で20倍:法人の事業拡大の歴史

 2回目のテーマは「事業規模」です。1999年に創設されたライフサポート協会は、2019年に創立20周年を迎えました。

ライフサポート協会・事業規模の変遷

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 図1にあるように、初年度の収入額6,564万円だったのが、昨年度の収入は13億1,288万円になりました(障がいのある利用者さんの作業による就労支援収入は除きます)この20年間で収入規模はちょうど20倍になりました。その歴史を事業収入から振り返ってみようと思います。

(1)部門別の収入構成

高齢事業部は次のようになります

ライフサポート協会・高齢事業部収入変遷

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 開設当初は在宅介護事業のみだったのが、2004年の特養開設後は特養と在宅が半々ペースに変わり、その後、2007年に「きずな」2010年に「大領地域の家であい」開設による「地域密着型サービス」がじわじわと収入規模を増やしていきました。2010年からは住吉区北地域包括支援センターも受託し、現在の形になりました。傾向としては以下のように言えます。

  • ①地域密着型サービスが現在の規模になって9年がたち、収入規模においても最も大きな位置を占めます
  • ②特養なごみも定員規模も小さい(入居30名と短期5名)のため在宅生活が困難になられた方の砦として機能分化をしていますが、報酬改定のたびの減額などもあり、経営的には近年赤字傾向で厳しい状況にあります
  • ③在宅介護は周辺に施設や高齢者住宅など増設されるたびに利用者がそちらに移られるということが何度かあり、稼働の維持安定が難しい状況にあります

障がい事業部は次のような推移をしています

ライフサポート協会・障がい事業部収入変遷

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 障がい事業部は2010年代も一貫して拡大基調にありました。初期のころは大阪市の条例施設「障がい者会館」等の補助金事業が多かった(2013年度廃止)のを通所型事業所に置き換えていったと言えます。ただ、放課後デイ・児童発達支援の分野は単価の増大と拠点増設をしていた2010年頃までは増加しましたが、以降は新規利用者数=卒業による大人の通所への移行者数で維持・微減傾向であり、グループホームや相談支援なども維持傾向です。

 拡大したのは泉北拠点(2013年開設)と障がい通所分野になります。大阪市内における生活介護と就労継続支援、自立訓練の定員は2003年15名→2007年65名→2011年85名→2012年100名→2016年140名→2019年150名と大きく拡大しました。理由は児童分野の利用者の卒業後として生活介護などの利用ニーズがあった。周辺に競合事業所も少なかったということによります。法人としても戦略的に拡大してきた面があります。傾向としては以下のようなことが言えます

  • ①障がい通所部門の事業拡大は単なる定員増加だけを求めてきたのではなく「多様な利用者像に対応できる活動メニューの多機能化」を伴っています(生活介護も、軽作業型・アート型・学びの場型・入浴介護型など。就労継続支援もフード班・製パン班・清掃班・縫製班・調理介護班などに分化)
  • ②生活支援事業(グループホーム・ヘルパーなど)が拡大できていません。特に居住支援については通所利用者からのニーズもありますが、人的・設備的な面から実現に至らず、今後の課題になっています
  • ③放課後デイや児童発達支援は2015年・18年の2回の報酬改定による規制強化や報酬単価の減少、その背景にある競合事業所の増加によって減少傾向にあります。他方で児童期から成人期に至る継続一貫した支援ができる支援上のメリットもあるため、「大人の事業所との連携」や「専門性の強化」を含めて、ライフサポート協会の特性を打ち出していく課題があります

 2021年度からの法人第7期中期事業計画の策定作業にも入っています。制度の動向も見据えながら、地域の社会資源や利用者ニーズも見定めつつ、事業展開を進めていく所存です。