更新日:2019年3月26日
さる2月23日(土)14:00から、住吉総合福祉センター2階大広間におきまして、『2018年度 実践報告会』がおこなわれました。
はじめに、今回の報告会を企画・運営した「支援の質向上委員会」の松岡さんより、「支援の質向上委員会」がめざすことなどについてのお話がありました。
実践報告会では、知識を獲得し、価値を学び、技術を研鑽する研究会を経て、さまざまな部門の職員が、お互いの仕事内容(支援の質)を高め合っていくことをめざしています。
『特別養護老人ホームなごみ』からの報告です。『なごみ』で生活されているご利用者の暮らしに焦点を当て、ご利用者の「やりたいこと」、「できること」を一緒に取り組まれていました。
これまで、生活の一部であった洗濯について、『なごみ』で生活されるようになってからは、すべて職員がおこなっていました。そうしたことに「ご本人の“できること”まで奪っていないだろうか?」という疑問を感じ、ご利用者と一緒に、洗濯を生活の中に取り込んでいく作業をおこなわれました。その中で施設生活ならではのさまざまな違和感に気付き、これにもご利用者と一緒に向き合っておられます。
『じらふヘルパー』からの報告です。余暇の中で遊びを通して、ご利用者の「やりたいこと」、「できること」を増やしていく取り組みをおこなわれていました。
飲食店へのお出かけで、飲み物のサイズを尋ねられた際、「空のカップを見せていただけますか?」と、同行しているヘルパーが店員さんにお願いすることで、サイズを口頭で確認するよりも視覚的に確認することで、注文を聞くことができる、ということを理解していただけます。そうしたきっかけを作って発信することもヘルパーの仕事として取り組まれています。
『らふら』からの報告です。『らふら』では、障がいのある方々が作業所で手作りされた雑貨を仕入れて販売しています。『らふら』ではどのような価値をお客に提供するのか?といったお店のコンセプトが定まっていませんでした。
そこで、さまざまな方法でお客のニーズを図っていく取り組みをされ、その中でも実際に購入されたお客の声を活かすことを考えました。お客の多くに「誰かへのプレゼントに」といった声があり、相手への想いを大切にされていることが感じられました。「それでは、商品の作り手の想いも大切にしよう」ということから「障害のある方々が作業所で手作りした」ことを前面に出していくことが決まりました。そこから『らふら』のコンセプトとして「大切な人を想うちょっとした時間」、「普段の暮らしの幸せ」、「多様な人との交流の機会」が生まれました。
『SODATERUじらふ』からの報告です。子どもの支援を通して親子をターゲットとした支援を展開されています。主には就学前の子どもの発達支援をおこなっていますが、子どもを育てる親の安心や気持ち寄り添い、大切にされている取り組みをおこなっています。
子どもの支援においては、「怒るでも褒めるでもなく、勇気づける」ということを大切にしています。「褒める」ことは結果を伴わなければできません。しかし、結果はどうあれ子どもの取った行動を承認することを伝えることで、子どもの「やってみよう」を支える取り組みです。
ケース1について、“気づき”というキーワードが挙げられます。特別養護老人ホームという生活環境における違和感に気づき、ご利用者の「やりたいこと」、「できること」に気づき、それらを奪ってきたのではないか、ということに気づいた事例です。そこから、ご利用者と一緒にその人の暮らしに寄り添っていくところが素晴らしいですね。今後はこうした特別扱い(個別対応)について、どう向き合っていくか、そして、生活や暮らしはきわめて個別的であり、みんな同じように対応すれば良いものではない、ということが考えられますね。
ケース2について、飲食店での「空のコップを見せていただけますか?」という発信が店員さんへの気づきを促している事例です。こうして店員さんが変わり、店が変わり、やがて社会が変わっていく、そんな素晴らしい事例だと思います。
ケース3について、『らふら』におけるマーケティング戦略についての事例かと思います。どのようにして販売を成功させるか、そのための戦略が、結果として素晴らしいコンセプトを生み出すことになりました。事業コンセプトが定まっていなかったことによって、大切にすること(価値)を見つめ直すことができたのではないでしょうか。
ケース4について、子どもを育てる親にとっても「安心できる場」であるということです。「やってみせる」、「子どもの行動を待つ」、「そのことを認める」ことの大切さを、親も学び、子育てが変容していく、という親子の支援を体現していますね。親と子どもの「やってみよう」を支える、素晴らしい取り組みですね。