2018年8月
職員体制が変わり、バタバタと今年度が開始し、早半年が経とうとしております。
4月から新しく入職した職員も徐々に、特養なごみに慣れてきたのかな~っと感じております。新しい職員については、後日改めて「今月のなごみ」でご報告させて頂きます。
久しぶりの「今月のなごみ」の更新です。何をお伝えしようかな~っと考えているうちに、、月日が流れてしまい、サボり癖がついてしまいました。申し訳ありません。
今月は今年度、大幅に変更したことをお伝えさせて頂きます。
それは「食事の在り方」です。昨年度のご入居者・ご家族からのアンケートを基に、職員間で「食」に対しての見直しを実施しました。アンケートでは味付け・献立・食材などが改善出来れば…とご意見を頂きました。
従来の食事の在り方は1階の厨房で出来上がった食事を2階のユニットで盛り付けをし、提供していました。米飯や汁物などは2階で用意していましたが、「いまからご飯!」という雰囲気はあまり感じませんでした。
各ユニットでは単発的に、ご入居者の食べたい物を聞き取り、「手づくりの食事」を提供していましたが、どこかイベントのような特別な食事になっていました。
そこでこの機会に、「ユニットで毎日食事を作られへんかな~っ」と現場職員と相談し、 「温かい美味しいご飯を食べる」「本人支援を深める」という事を目的として、今年4月から給食会社の業務委託での食事提供を止め、各ユニットで毎日3食、入居者さんと調理し、出来上がった食事を一緒に食べる!というユニットでの調理を開始しました。
給食会社の業務委託をやめるまでに、昨年の9月から会議を重ね、当初は3日間・次に1週間・2週間と月ごとに食事作りをする実践回数を増やしていきました。
職員の中には「何でこんなしんどい事するん?」「前のままでいいやん!」「現場での対応もあるのに、いけるん?」「人もおらんのに買い物行けるん?」等の否定的な声や「もっと調味料や備品必要や!」「入居者さんと一緒に作るの楽しそうやん!」と意欲的な声もあり、賛否両論でした。
実践していく中で、ご入居者の新たに発見できた、出来ること(包丁を上手く使用されたり、細かく野菜を均等に切られたり)が分かったり、料理が苦手な職員が、ご入居者に聞きながら率先して調理をしたり、何よりユニット内に広がる香ばしい匂いや包丁や炒め物をしている音や雰囲気が感じられ、そしてご入居者の食事量の向上、そして残飯量の少なさに違いが見られました。
ご入居者の中には、ユニットでお好み焼きを焼いている匂いを嗅いで「エエ匂いやな~!」と大きな声で仰られる場面もありました。また、その方にとっての家庭の味も、ご家族が、調理に参加してくださることで再現できたりと、思わぬ産物もありました。
しかし良い事ばかりではありません…。職員の欠勤により調理まで手が届かない、ご入居者の支援が疎かになってしまう等の場面も見られました。介護職員だけでは限界があります。そこで毎日ではありませんが、調理に携わって下さる職員を、地域の方々(65歳以上や子育て中のお母さん等)から呼びかけさせて頂きました。新たな出会いと新しく仲間も沢山増え、子どもと一緒になって働く形も取らせて頂きました。子どもを見て「~ちゃん!」と呼ばれたり、今まで特養なごみには無かった「ママ~」!と働くお母さんを呼ぶ声もすごく新鮮です。
様々な課題とぶつかりながら、4月から毎日3食調理をしていき、早半年が経ちました。
ご入居者同士が協力し合い、「ああでもない、こうでもない」と言いながら、野菜を一生懸命に切っておられる場面や職員に味付けを教えて下さる、食べたい物を伝え、献立に反映することで「ウチが言うたメニューや!」と喜んで下さる等、「食」を通して、これまでの生活の中で、あたり前にあったことを実感できるようになってきたと感じております。
また調理場面を通じて、私達の知らなかったご入居者の力には、毎日驚いております。
ご本人がすること(味見でも、メニューを伝えるでも何でもOK!)、するもの、する機会を増やしていきたいと思っております。
一緒に働く仲間も調理を通じて、ご入居者と関わる場面も増え、関わりを持つ姿勢や会話の内容も変わってきたのかな~っと感じております。まだまだ課題は沢山あります。献立の改善や調理の仕方、地域との繋がりに向けた買い物など…。1つ1つ解決していければと思っております。
また、今回の取組みは、「する側される側」が固定化された関係からの脱出でもあります。施設だからといって出来ないのではなく、家庭にある「あたり前のこと」「関係性」を、ここ(特養なごみ)でも、わざわざ報告せずとも、当たり前にできればいいと思っています。
この取り組みを実施するにあたり、意識を持って実践してくれた職員・気になって毎日の様に、来てくださるご家族にも感謝しております。
(なごみ副施設長 上村 淳)
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