2018年12月
今年もあと数日を残すばかり。
2018年の流行語大賞は『そだねー』となりました。 平昌五輪で銅メダル獲得のカーリング女子日本代表チームがつかったことでスポットを浴びた言葉。 『そだねー』素晴らしい言葉が選ばれたと嬉しい気持ちになりました。 『そだねー』は、承認の言葉でもあります。
受け入れ、同じ立場に立って、相手を理解しあい、共感する。 そのことが、チームとして機能し、持っている力、それ以上の力を発揮することにつながったのではないでしょうか。
人が受け入れられ、自分が大切にされていると、本人が実感すること。 このことは、人としての当然の欲求でもあり、心理的ニーズが満たされるという状態。
まさしくパーソン・センタード・ケアの概念でもあります。
今年度のなごみは、『喜怒哀楽をともに』を合言葉に日々取り組みをすすめています。 『そだねー』の意味するところです。
感情を共に、その時々の感情を受け入れることは、本人理解につながります。
人は他者から承認されることで自己肯定感を抱き、自らの居場所をつくり、強い自信を持つといわれています。認めの場は、居場所ができること。そのことが、『生きる強さ』につながると思っています。
実践パーソン・センタード・ケアの著者である水野裕先生が、『専門職と言われる人が、難しい言葉をつかって相手より偉いといわんばかりの場面や環境をつくっている。おかしい。専門職が無意識の中つくってきた負の常識は、変える必要がある。なぜ専門用語をつかうのか、一言で片付けることができるから。背景を考える必要がないから。専門職といわれる人たちが、認知症をもつ人への対応を、厄介な人扱いしたとするならば、重度化したようにみえる。世間の常識がそこにおかれる、まずは、専門職が本人の立場に立つことが大切。』 言葉一つで片付けられる常識が存在しているということ。
専門職が、間違った言葉遣いや、対応をすることで、それが、世間の常識になるということ。自分たちが、常に、襟を正していかないと、業界内で悪しき常識になってしまったこと(=気づかずにおこなっている不適切な対応や病をみて人をみない状況など)が変わっていかないということでもあります。
実際、認知症がある方が、帰りたい=帰宅願望と記録にあると、帰宅願望がつよく、(職員が)困った。知らず知らずに認知症というレッテルを貼った、意味合いでうけとります。
例えば、帰りたい=『そうですよねー』・・帰りたいとおもって当然ですよね。帰りたいきもち、わかります。知らない、人のいる場所につれてこられ、不安で仕方ないのですね。とはなかなかならないのです。
更に、徘徊や失禁。その言葉に、同じ立場に立った意味があるとは思えません。
徘徊とあると、うろうろ歩き回って、転倒したり、迷子になられると、(私が)困る。困った行動。という風にもとれる。本来ならば、『そうですよねー』徘徊は、あてもなくさまよい歩いているのではなく、何かを求めて歩いているが、周りからはそのことが何をしめしているのか、理解できてなくてごめんなさい。となるはず。
排泄に関しての失敗を、失禁として使う。 トイレの場所を探して、そわそわと歩いておられたのに。こちらがそのサインに気づかず、汚してしまった。ごめんなさい。のはず。失禁としめすことで、本人の失敗という事になっているのではないでしょうか。
悲しくて泣いても、感情までもが、失禁と言われます。結果、専門職といわれるものが、その方を、生きづらい立場にしてしまっているのではという問いかけだったと思います。自分がその立場だったら、自分だったらどう感じるのか。 どう映るのか。と思ったときに、『そだねー』と、決して特別なことではなく、当然のことだと受け止めることができるはず。
『帰りたい』帰りたい場所があるということ。自分の思いを伝えることができる。という生きるための感情であると感じます。
『帰りたい』ということばは、何を意味しているのか。
家なのか、人なのか、自分がいきいきしていた場所なのか、時代なのか。 時々によって『帰りたい』の意味が違ってくるはず。帰宅願望の一言で片付けるのは違うということです。慮る。(おもんぱかる)、そのことが大切なことだと思っています。
おひとりおひとりの心に耳を傾け、聴こえないものをみる。 そのことで、大変な現場ではなく、喜怒哀楽を共にできる、互いが、生きている場につながると思っております。 平成最後の年末ですが、毎日が始まりでもあります。
良い日になる!たとえ辛いことがあっても、感情をともにできる人がいれば、乗り越えるちからになる!というポジティブな感情を無意識の中に意識して働きかける。 そして、自分自身を「自己肯定」できると、未来がたのしいものになると思っています。
皆さま、よいお年をおむかえください!
(なごみ総合施設長 福留千佳)
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