ライフサポート通信 第9号
2005年7月11日
みなさんの「自立」のイメージは、どのようなものでしょうか?
おおむねこのようなものでしょうか?
例えば、自力で食事を摂ることが困難な方にとって、訓練をして、自分で食べるようになることを「自立」とみる見方があります。しかし、その行為が他の人の数倍時間がかかり、気力体力を消耗する場合、ヘルパーを活用して他の人と同じ時間で食事を楽しみ、時間も有意義に使えたとしたら、自分の時間を自分で活用するという意味で、むしろこちらこそ「障がいがありながらの自立のスタイル」とうけとれるかもしれません。
…この言葉に込められた自立とは 《自分で考え、実現する(そこに援助を得たとしても)》 そのプロセスにあるのかも知れません。全面的に介護を要する障がいのある人でもその意味で「自立を果たしている」方はたくさんおられます。その当事者であり、法人評議員でもある岸田美智子さんにお話を伺いました。
岸田さんの話
障害者自立支援法案の一番の問題点をあげるならば、障がいが重い人ほど負担が増える仕組みでしょう。私は現在制度を使い月に380時間のヘルパー派遣がされることで(100万円近くが国や市から事業所に入ります)全面的な介護を得ながら一人暮らしができています。
今回その金額の一割の本人負担が導入されようとしています。これは作業所の平均1万円に満たない工賃からも徴収されます。国は介護保険と同じような制度にしたいようですが、そもそも高齢者と障がい者では資産や所得の基盤も違います。
また、介護保険の上限額は月に35万円程度です。これでは利用の制限や抑制も考えられ、結局「自立支援」を言いながら、家族の介護に頼らざるを得なかった一昔前に逆戻りになってしまいます。
私たちライフサポート協会の事業では「遊ぶ」「余暇を楽しむ」「生活する」「働く」「憩う」それぞれの場面で、障がいの状況やご本人の思いに応じた「その人らしさ」を実現すべく支援をおこなってきました。
今の時代、自立の課題に困難と重みがあることは、誰しもが変わりません。収入を得る・家族の庇護から離れる・そして自分のことは自分で考え、実現する…障がいのある人もない人も同じ悩みがあります。
本年4月開設のグループホーム「だいく」自分たちで夕食もつくります。
そこで、せめて同じ土俵に立って考えられるためには、援助利用の抑制ではなく、むしろ所得保障をはじめとした制度を、もっと充実させる必要があると感じています。
国が考える「自立」とはやはり「自分でできるようになる」こと“だけ”なのでしょうか?